今後10年間で銅需要が急増する可能性 注目すべき3つの銅ETFとは?

August 8, 2026

※本記事は、Canadian Mining Report にて Ben McGregor 氏が執筆した内容を翻訳・再構成したものです。

銅は、エネルギー転換、AI(人工知能)インフラの構築、輸送の電化、新興国の工業化といった複数の長期トレンドが交差する位置にあります。

複数の予測では、今後10年間、そしてそれ以降も世界の銅需要は大幅に増加すると見込まれています。一方、新規鉱山の供給は、鉱石品位の低下、開発期間の長期化、資本コストの上昇、許認可の難しさといった構造的な課題に直面しています。

需要の増加と供給の制約が重なることで、銅のスーパーサイクル、あるいは少なくとも数年にわたって高価格と需給逼迫が続く可能性についての議論が再び活発になっています。

個別の鉱山株を選ばずに銅へ投資したい投資家にとって、銅ETFは分散投資が可能で、比較的利用しやすい手段です。

本記事では、2026年以降の銅投資という観点から、銅需要の見通し、供給側の制約、そして代表的な銅関連ETFであるGlobal X Copper Miners ETF(COPX)、United States Copper Index Fund(CPER)、iShares Copper and Metals Mining ETF(ICOP)の3つについて見ていきます。

銅需要の予測:構造的な成長要因

近年の長期予測では、世界経済における銅需要が今後も増加するという共通した見方が示されています。

S&P Globalは、世界の銅需要が2025年の約2,800万トンから2040年には4,200万トンへ増加すると予測しています。これは約50%の増加です。

Wood Mackenzieの基本シナリオでは、2035年までに需要が24%増加し、年間約4,270万トンに達すると予測されています。BHPはさらに長期的な見通しとして、2050年までに需要が約70%増加し、5,000万トンを超える可能性があると推定しています。

こうした需要増加の背景には、複数の要因があります。

  • 電化とエネルギー転換
    再生可能エネルギー発電、送電網の拡張、エネルギー貯蔵には、従来の化石燃料を中心としたシステムよりも多くの銅が必要です。EV(電気自動車)にも、内燃機関車より多くの銅が使用されています。
  • AIとデータセンター
    データセンターの急速な拡大によって、電力インフラや銅配線、関連部品への需要が新たな成長分野となっています。一部の分析では、データセンター関連の銅需要が今後数十年間で数倍に増える可能性があるとされています。
  • アジアの経済発展
    中国は引き続き世界最大の銅消費国ですが、工業化と都市化が進むインドや東南アジアも、今後の需要増加に占める割合を高めていくと予想されています。
  • 防衛・その他の産業用途
    各地域で防衛支出が増加していることも、新たな銅需要を生み出しています。こうした需要は価格変動の影響を比較的受けにくいという特徴があります。

IEA(国際エネルギー機関)などは、現在発表されているプロジェクトだけでは、2030年代半ばまでに銅を中心とする重要鉱物で大きな供給不足が生じる可能性を指摘しています。

IEAによる一つの評価では、発表済みのプロジェクトだけを考慮した場合、特定のシナリオで2035年の銅供給が予想需要に対して約30%不足する可能性があります。

供給制約と銅不足のリスク

供給側が抱える問題は、一時的な景気循環によるものではなく、構造的なものです。

既存鉱山では老朽化や鉱石品位の低下が進んでいます。また、大規模な銅鉱床を発見してから実際の生産を開始するまでには10年以上かかることが多く、さらに長期化するケースもあります。

資本コストも上昇しており、多くの地域では環境、社会、ガバナンスに関する要件によって開発期間が長期化しています。

既存鉱山の拡張や一部の新規プロジェクトによって供給量は増えるものの、現在の開発パイプラインだけでは、需要が大幅に増加するシナリオに十分対応できないとの見方があります。

新たな投資を促すには、より高い銅価格が必要になる可能性があります。リサイクルによる供給も増加すると考えられますが、それだけで需給ギャップを埋めることは難しいとみられています。

需要が急速に増加する一方、供給は増加に時間がかかる。この組み合わせが、長期的な銅価格の見通しや「銅の強気相場」「スーパーサイクル」をめぐる議論の背景となっています。

なぜ銅ETFなのか?

一般の投資家にとって、銅そのものを現物で保有することは現実的ではありません。

一方、個別の銅鉱山株には、操業、事業地域、バランスシート、経営陣など、それぞれの企業に固有のリスクがあります。

銅ETFはその中間に位置する投資手段です。銅先物を通じて銅価格そのものへのエクスポージャーを得るETFと、複数の銅鉱山会社へ分散投資するETFがあります。

ただし、それぞれのETFでは仕組み、リスク、税制、価格の動き方が大きく異なるため、投資前に違いを理解することが重要です。

注目すべき3つの銅ETF

1. Global X Copper Miners ETF(COPX)

COPXは、銅鉱山株に特化したETFとして最大級かつ流動性の高い商品です。運用資産残高は数十億ドル規模で、最近では70億~80億ドルを超える水準と報告されています。

世界の銅鉱山会社で構成される指数に連動し、生産会社や関連企業へ分散投資しています。経費率は約0.65%です。

COPXは株式を保有するため、銅価格に対する「オペレーティング・レバレッジ」が働きます。銅価格が上昇すると鉱山会社の利益率やフリーキャッシュフローが銅価格以上に拡大する可能性がある一方、銅価格が下落した場合には逆の動きも起こります。

過去の持続的な銅価格上昇局面では、このレバレッジによって先物型の商品を上回るパフォーマンスを示すこともありました。

分配金は通常半年ごとに支払われ、米国では一般的な1099税務フォームが発行されます。銅鉱山セクターへの株式投資を求める投資家にとって、代表的な選択肢の一つです。

2. United States Copper Index Fund(CPER)

CPERは、銅指数に連動する先物契約を保有することで、銅価格そのものにより直接的に連動することを目指すETFです。

運用資産残高はCOPXより小さく、最近では7億~8億ドル程度です。経費率は約0.97~1.06%と、COPXより高くなっています。

CPERは商品プールとして扱われ、米国ではK-1税務フォームが発行されます。そのため、一部の投資家にとっては税務処理が複雑になる可能性があります。

パフォーマンスは銅の現物・先物価格に比較的近くなりますが、先物契約を乗り換える際のコンタンゴやバックワーデーションによるコスト・利益の影響を受けます。

株式市場の影響や個別企業のリスクを抑えながら、銅価格そのものへのエクスポージャーを得たい投資家に選ばれることがあります。

3. iShares Copper and Metals Mining ETF(ICOP)

ICOPは比較的新しいETFで、銅を中心とした金属鉱山会社の株式へ投資します。

経費率は約0.47%と3つの中では低く、運用資産残高は数億ドル規模まで成長しています。

COPXと同じく先物ではなく鉱山会社の株式へ投資するため、銅価格上昇時には鉱山会社の利益拡大を通じたレバレッジ効果が期待できます。

ただし、COPXとはポートフォリオの構成や銘柄の比重を決める方法が異なります。そのため、鉱山株を中心に投資しながら、より低い運用コストを求める場合の選択肢となります。

COPXとICOPのような鉱山株ETFは、操業・財務面のレバレッジによって、銅価格以上に大きく動く傾向があります。

一方、CPERのような先物型商品は銅価格そのものにより近い値動きをしますが、先物の乗り換えコストや税務上の違いがあります。

レバレッジ型の銅ETFも存在しますが、リスクは大幅に高く、一般的に長期保有には適していません。

銅ETFへの投資方法

これらのETFは、一般的な証券口座を通じて株式と同じように売買できます。

投資前には、ETFの目論見書を確認し、保有銘柄や運用方法、経費率、連動対象との乖離(トラッキングエラー)、税務上の取り扱いなどを理解する必要があります。

特にCPERでは、米国のK-1税務フォームが使われる点も考慮する必要があります。

また、銅市場そのものの価格変動が大きいことに加え、鉱山株型と先物型では異なるリスクを持つため、ポートフォリオ全体に対する投資比率も重要です。

「最も優れた銅ETF」が一つだけ存在するわけではありません。銅価格そのものへの投資を重視するのか、鉱山会社の利益拡大によるレバレッジを狙うのか、コスト、流動性、税務上のシンプルさのどれを優先するのかによって、適したETFは異なります。

リスクと注意点

銅価格と銅関連株には景気循環的な性質があり、短期間で大幅に下落する可能性があります。

世界経済の成長が予想を下回った場合や、銅の代替技術が普及した場合、技術革新によって必要な銅の使用量が減少した場合には、需要が予測ほど増えない可能性があります。

反対に、高い銅価格によって新規鉱山への投資が加速したり、リサイクルが予想以上に拡大したりすれば、供給量が大きく増える可能性があります。

地政学的な出来事、貿易政策、為替変動も銅市場に影響します。

ETF固有のリスクとしては、トラッキングエラー、一部の大手鉱山会社への銘柄集中、長期的に積み重なる運用コストなどがあります。先物型ETFでは、先物カーブの構造によるコストも発生します。

また、レバレッジ型ETFは利益だけでなく損失も拡大するため、一般的に短期取引を目的として設計されています。

2026年以降の銅投資

長期的な銅需要の見通しは、コモディティ市場のなかでも特に強い構造的なテーマの一つです。

ただし、それが持続的な銅の強気相場につながるかどうかは、実際に需要がどの程度のスピードで増加するのか、そして鉱山業界がどれだけ新規供給を増やせるのかによって決まります。

このテーマへ分散して投資したい場合、今回取り上げた3つのETFにはそれぞれ異なる特徴があります。

COPXは幅広い銅鉱山株への投資を通じて、銅価格上昇時の利益拡大によるレバレッジを狙うETFです。CPERは銅先物を通じて、銅価格そのものへのより直接的な投資機会を提供します。ICOPは比較的低い経費率で銅・金属鉱山株へ投資する選択肢です。

それぞれリスクとリターンの特徴が異なるため、自身の投資目的、投資期間、リスク許容度に合わせて検討する必要があります。

よくある質問

銅ETFにはどのように投資できる?

銅ETFは、多くの証券口座を通じて一般的な株式と同じように売買できます。

投資する際には、ファンドの目的、保有資産、経費率、税務上の取り扱い(1099またはK-1)などを確認し、ポートフォリオ全体のリスクに応じて投資額を決める必要があります。

最も優れた銅ETFは?

すべての投資家にとって最適な銅ETFが一つだけ存在するわけではありません。

COPXは鉱山株を中心とするETFとして最大級で流動性が高く、CPERは先物を通じて銅価格そのものにより近い値動きを目指します。ICOPは比較的低コストで鉱山株へ投資できる選択肢です。

鉱山株によるレバレッジ、銅価格への直接的な投資、コスト、税務上のシンプルさなど、何を重視するかによって適したETFは異なります。

【免責事項】

本記事は情報提供および教育のみを目的としており、投資助言、ETF、証券、商品などの購入・売却・保有の推奨、または将来のパフォーマンスを予測するものではありません。

銅、銅鉱山株、銅ETF、および関連投資には、元本を失う可能性を含む大きな損失リスクがあります。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。

投資判断を行う前に、ご自身で十分な調査を行い、必要に応じて資格を持つ財務、法律、税務の専門家へ相談してください。

著者:Ben McGregor

Ben McGregor氏は、CanadianMiningReport.comで「Weekly Roundup」を執筆し、金属・鉱業セクターに関する分析を行っています。

金、銅、ウランなど幅広い鉱種を扱い、データに基づいた視点と投資機会を見極める分析を組み合わせながら、特にTSXV(トロント・ベンチャー取引所)に上場するジュニア鉱山企業を中心に市場動向を発信しています。

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