日本で約70年ぶりに金鉱脈を発見!具体的な場所と経緯を解説

November 18, 2025

約70年前に閉山した鹿児島県の山ヶ野金山で、新たな金鉱脈が確認されました。金価格が過去最高水準で推移するなか、国内での金脈発見は極めて珍しく、現地では再評価の動きが広がっています。本記事では、今回の発見の概要と、その背景にある探査技術、今後の見通しについて分かりやすく解説します。

なぜ鹿児島県で金鉱脈が発見されたのか?

今回新たに確認された金鉱脈は、鹿児島県霧島市にある山ヶ野金山周辺です。かつて国内有数の産金地として栄えた地域で、近年の地質調査によって再び注目が集まっています。

鹿児島県に位置する山ヶ野金山

山ヶ野金山は、鹿児島県霧島市横川に位置し、世界的な高品位金山である菱刈金山から南西へ約11kmという好条件の立地にあります。歴史的には菱刈鉱床に最も近い産金地として知られていますが、近代的な地球物理調査や掘削がほとんど行われてこなかった地域です。

最近の調査では、地下に「重力異常(密度の高い基盤岩ドーム)」が確認されており、この構造が熱水を集めやすい環境をつくることで金脈が形成されやすいと考えられています。今回発見された鉱脈も、この地質構造と強く関連している可能性が指摘されています。

過去の歴史

山ヶ野金山は、江戸時代初期の1640年に川底で金を含む石が偶然見つかったことをきっかけに開発が進んだ金山です。発見後は採掘が本格化し、最盛期には全国各地から人々が集まり、2万人規模の大きな鉱山町として栄えました。当時は道具や機械が限られていたため、細い坑道を人力で掘り進め、採れた鉱石をかごで運び出すなど、非常に重労働の環境だったとされています。

その後、幕末から明治期にかけて西洋の技術が導入され、生産効率が向上したことで、18世紀には日本有数の産金量を誇るまでになりました。しかし、採掘の進行に伴い資源が減少したことなどから、1953年(昭和28年)に閉山しています。現在においては、坑道跡や関連施設が残されており、地域の産業史を語る重要な遺産となっています。

金鉱脈を見つけたアービング・リソース社とは?

アービング・リソース社は、日本国内で鉱物探査を進めている会社であり、ここでは同社の概要と日本で展開している主な取り組みを紹介します。

会社概要

アービング・リソース社(Irving Resources Inc.)は、2015年にカナダ・バンクーバーで設立された鉱物探査会社で、日本国内の金・銀の探査に特化している点が最大の特徴です。創業者であるアキコ・レビンソン氏(CEO)と、世界的な金鉱探査の専門家であるクイントン・ヘニー博士の指揮のもと、浅熱水性の高品位鉱脈を主要なターゲットとしています

2016年には日本法人「Irving Resources Japan GK」を設立し、北海道から九州まで複数の探査プロジェクトを展開しています。また、世界大手の金鉱会社であるニューモント(Newmont) が2019〜2023年に累計 2150万ドルを出資して19.9%を保有しているほか、住友商事も2020・2022年の出資により5.4%を保有しています。

日本における探査プロジェクト

アービング社は、日本全国の有望地域で積極的な探査プロジェクトを展開しています。

プロジェクト 地域 概要
山ヶ野プロジェクト 鹿児島県 山ヶ野金山周辺で進められているプロジェクトで、歴史ある金山の深部構造を最新技術で再評価する計画。 重力探査などの地球物理調査を基に、有望な鉱脈帯を対象に試錐を進めている。
雄武プロジェクト 北海道 雄武町の火山性地帯に広がるアービング社の中核プロジェクト。複数の高品位金銀脈が確認されており、 2.98 km² の鉱区と 171 km² 超の探鉱申請地を保有している。
能登プロジェクト 石川県 能登半島に 337 km² の探鉱申請エリアを持ち、河川堆積物から金・銀・ヒ素などの異常値が確認されている。 地質的には佐渡金山と近い特徴があり、金銀鉱脈のポテンシャルが指摘されている。
薩摩Bプロジェクト 鹿児島県 54 km² の探査申請エリアを持ち、山ヶ野金山と似た重力高地が存在する。浅熱水性の金銀鉱脈が形成されやすい 地質構造を持つ地域として注目されている。

出典:Irving Resources Projects

同社の探査プロジェクトは主に4つの地域に分けられますが、それぞれ進捗状況に差があります。山ヶ野と雄武は実際の掘削が進んでいるものの、能登や薩摩は広域の地域調査や申請が中心の初期段階であり、今後の評価が期待されています。

金鉱脈を発見するまでの技術的背景

今回の金鉱脈の発見には、アービング・リソース社が導入した現代的な探査技術が大きく貢献しています。山ヶ野金山では江戸時代から採掘が行われていましたが、当時の技術では主に地表付近しか調べることができず、地下深部の構造までは把握できていませんでした。

そこで同社は、AMT(オーディオ磁気地電流法)と呼ばれる調査方法を用いて、地下の電気抵抗の違いを詳細に分析しました。この手法によって、山ヶ野の地下には幅約700メートルに及ぶシリカ化帯が存在することが明らかとなったのです。

この調査結果を踏まえ、アービング社は数百メートル級の深さまで掘削できる「ダイヤモンド掘削」を実施しました。その結果、複数の金鉱脈を含む石英脈帯が実際に確認され、2025年9月の試錐では1トンあたり約8.3グラムの金を含む区間も報告されています。

このように、カナダ企業の持つ最新技術によって地下の内部が可視化されたことが、70年ぶりの新たな金鉱脈の発見へとつながりました。

今後期待される進展

今回確認された金脈は、まだ「初期調査の段階」にあります。アービング社は今後も試錐(しすい)調査を続け、金脈の広がりや深さ、品位をより詳しく調べていく予定です。

今後は、追加の掘削や分析を重ねながら、エリア全体の資源量の見通しを評価していく流れになります。地元の専門家からも「探せばまだ金脈が見つかる可能性は十分ある」との声があり、山ヶ野地域の再評価が進むことが期待されています。

まとめ

約70年ぶりに確認された山ヶ野金山の金鉱脈は、歴史ある鉱山に最新の探査技術を持ち込んだことで発見できた例と言えます。地域の地質特性が改めて評価され、深部構造の解析によって、これまで見過ごされてきた鉱脈の存在が浮かび上がりました。

今回の発見は、日本でも依然として新たな鉱床が眠っている可能性を示すことになり、国内の鉱物探査に対する関心を高める契機になったと言えるでしょう。

【出典】

テレ朝NEWS 70年ぶり日本で金鉱脈発見 期待はゴールドラッシュ再来 周辺では砂金も
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/900177618.html

霧島市 山ヶ野金山物語
https://www.ciy-kirishima.jp/kirikan/kanko/bunka/yamaganokinzan.html

鹿児島県観光サイト 山ヶ野金山
https://www.kagoshima-kankou.com/industrial-heritage/52645

Irving Resources Signs Definitive Agreement for Option to Acquire the Historic Yamagano Mining License
https://irvresources.com/irving-resources-signs-definitive-agreement-for-option-to-acquire-the-historic-yamagano-mining-license/

Irving Resources Irving Encounters Multiple Gold Veins in Latest Diamond Drill Hole at East Yamagano, Japan
https://irvresources.com/irving-encounters-multiple-gold-veins-in-latest-diamond-drill-hole-at-east-yamagano-japan/

Irving Resources Newmont/Irving/Sumitomo Alliance
https://irvresources.com/projects/newmont-iiving-sumitomo-alliance/

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