金価格高騰時代の投資術!金に投資する5つの方法を紹介

August 4, 2025

2025年、金価格は1トロイオンス当たり3500ドルを超え、史上最高値を更新しました。経済的不確実性や地政学的リスクの高まりを背景に、多くの投資家が金に注目しています。

しかし、「金投資」と一口に言っても、その方法は多岐にわたり、それぞれ異なる特徴とリスクを伴います。どの方法が自身の投資スタイルや目標に合っているのか、迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。

本記事では、金投資が持つ主なメリットを再確認しつつ、代表的な5つの投資方法について、それぞれのメリット・デメリットを徹底的に解説します。この記事を読めば、高騰する金市場であなたに最適な投資戦略を見つけるヒントが得られるでしょう。

金投資の方法

金に投資するにはいくつかの方法があり、主に以下の5種類が挙げられます。

金投資の方法 特徴
純金積立 毎月一定額ずつ金の現物に積立投資
金地金・金貨 現物の金(インゴット、延べ棒、金貨)を購入
金鉱株 金の採掘や精錬などを行う企業に投資
金ETF 金価格に連動して値動きをする投資信託
金先物取引 将来の決められた日に、事前に定められた価格で金を売買する

それぞれの投資方法を詳しくみていきましょう。

純金積立の特徴

純金積立とは、純金を定期的に積み立てていく投資手法のことです。一般的には、証券会社や地金商、銀行など、サービスを提供する事業者と契約し、口座を開設したうえで運用を開始します。

純金積立には、毎月決まった金額を支払う「定期積立」や、グラムを決めて定期購入する「定量積立」などの種類があります。好きなタイミングで購入できる「スポット購入」に対応しているサービスも見られます。積み立てた後は、現物をそのまま受け取る方法や、売却して利益を受け取る方法などがあるのです。

純金積立のメリット

純金積立には、他の金投資にない独自の利点があります。その特徴的なメリットを見ていきましょう。

金の価値が安定している

実物資産として優秀な金は、インフレなどの影響を受けにくいと言われています。世界的に経済的な不安が大きい状態だと金価格が高まりやすいことも特徴です。安定した価値を持つため、急激に価格が下がってしまうリスクが低いと言えるでしょう。

小額から簡単に始めやすい

純金積立は毎月1000円程度で始められるサービスもあるため、小額でスタートできます。そのため投資初心者や、まとまった資金を用意できない人でも気軽に始められます。

保管の手間がかかりにくい

純金積立は購入した金を手元に置くわけではなく、契約した会社に管理してもらいます。自分で貸金庫を借りて保管する必要がないため、手軽に運用しやすいこともメリットです。

長期の資産運用に向いている

純金積立は少額でコツコツと積み立てていくのに適しています。「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法で、金相場が高いときは少量を購入し、低いときは多めに購入できることも理由です。この方法なら、価格変動リスクを低減しつつ、長期で安定した投資を続けられます。

純金積立の主なデメリット

一方で、純金積立にも注意点があります。投資を始める前に理解すべきデメリットを解説します。

金の価格変動リスクは避けられない

金は安定した価値を持つと言われていますが、絶対に安心というわけではありません。どんな金融商品でも価格変動による損失リスクが存在します。購入・売却のタイミングはしっかりと見極めることが重要です。

短期間で利益を出しにくい

純金積立は長期保有に向いている一方で、短期間で多くの利益を出したいときには適していません。価格変動が小さいため、多額の利益を得たい場合はかなりの金額を投資する必要があります。そのため純金積立を開始する際は、長期運用を前提とした計画を立てたほうが良いでしょう。

手数料が発生することがある

一般的に、純金積立の買い付けには手数料が発生します。購入金額の数%が目安であり、1回あたりの負担はそれほど大きくありません。しかし、長期間払い続けるとそれなりのコストになってしまいます。また、サービスによっては年会費を求められることがあります。ランニングコストを試算し、どの程度の金額が必要になるかを把握しておくことが大切です。

金地金・金貨の特徴

金地金とは、金を保存しやすいような形で変形させた金の塊のことです。インゴット、インゴットバー、金の延べ棒などとも呼ばれています。店頭でゴールドバーを購入することができますが、金地金に販売会社の名前を刻印していることが多いです。

盗難などの危険を避けるために購入した金を業者で保管(寄託)してもらう方法として、預けた金と同等の金を返却する「消費寄託」と「混蔵寄託」があり、混蔵寄託には保管料が発生します。この投資方法は現物を保管できる分、有事の際はすぐに換金可能です。一方で紛失・盗難のリスクがあるので、自宅保管が不安な人は銀行の貸金庫に預ける必要があり、預けている期間は手数料がかかります。

金地金・金貨のメリット

金地金や金貨の購入には独自の魅力があります。実物資産としての利点を詳しく見ていきます。

世界共通で価値が担保されている

世界に流通している金地金の品質は、「ロンドン貴金属市場協会(LBMA)」が保証しています。LMBAの厳格な審査に合格した企業のみが、自社のマークを刻印した金地金を市場に流通させられます。企業の信用力が価値である株式と異なり、金はそれ自体に価値があるため、世界中どこでも換金できます。万が一の際にも資産価値が保たれやすいのは金の大きな魅力と言えます。

投資金額が大きくなると手数料は安くなる

金地金の購入には基本的に手数料(バーチャージ)が発生します。しかし、500g以上の金地金には手数料がかからない場合が多いため、500g未満のものより重量当たりの価格が安くなります。

金地金・金貨のデメリット

金地金や金貨の購入には慎重に検討すべき点もあります。そのリスクについて説明します。

管理の手間やコストがかかる

現物の金を安全に保管するには、専用の設備や対策が必要です。自宅保管の場合、耐火金庫の購入や防犯システムの導入などの初期費用がかかります。銀行の貸金庫を利用する場合は、年間のレンタル料が発生し、アクセスも制限されます。

さらに、定期的な状態確認や鑑定なども考慮すると、予想以上の手間とコストがかかる可能性があります。これらの追加支出は、長期的な投資収益に影響を与える可能性があるため、事前に十分な計画が必要です。

盗難に遭うリスクがある

金地金や金貨は換金性が高く、盗難の標的になりやすい資産です。自宅保管の場合、常にこのリスクと向き合うことになります。高度なセキュリティシステムを導入しても、完全に安全とは言えません。

また、購入や売却時の運搬中も注意が必要です。盗難保険への加入でリスクを軽減できますが、保険料という新たなコストが発生します。さらに、万が一盗難に遭った場合、金融資産と違い個体識別が困難なため、回収の可能性は極めて低くなります。このリスクは、投資判断する際に重要な考慮事項となります。

金鉱株の特徴

金鉱株は、金の採掘や精錬を事業内容とする企業の株式のことです。金には、貴金属としての価値があります。金の価格は日々変動しているため、投資の対象となっています。その金を鉱山から掘り出して精錬する企業の業績は、金価格の影響を受け、株価も金価格に連動する形で動きます。そのため金の価格が大きく動く局面では、注目が集まる業種の株となっています。

金鉱株の代表銘柄としては、以下のようなものがあります。

企業名 特徴
住友金属鉱山(5713) 金鉱山として日本最大規模の菱刈鉱山を所有
バリックゴールド(GOLD) カナダを本拠地に置く世界最大級の金採掘会社。米国市場に上場
ニューモント(NEM) 金鉱山世界最大手の鉱山会社

また中小の鉱山株を買いたいとなれば、アメリカの証券会社であるインタラクティブ・ブローカーズ証券の口座を作れば、より幅広い鉱山銘柄に投資することができます。

金鉱株のメリット

金鉱株投資には、金価格上昇以上の利益を得られる可能性があります。その魅力を解説します。

配当がもらえる

金はそれ自体が富を生み出すものではないため、配当や利子などのインカムゲインがありません。一方で金鉱株は企業の株式であるため、銘柄によっては配当金を得ることができます。

オペレーティング・レバレッジがかかる

オペレーティング・レバレッジとは、売上高の変動に伴い利益額が大きく変動する現象のことです。一般的に金価格の変動に比べて、金採掘のコストはそこまで大きく変動しません。金採掘のコストがほぼ変わらないとすると、金価格が上昇するほど金鉱企業の利益は増えます。金価格の上昇局面において金鉱株にはオペレーティング・レバレッジがかかるため、「金を掘れば掘るほど儲かる」状態となり、業績が向上しやすくなります。

金鉱株のデメリット

金鉱株にも株式投資特有のリスクがあります。重要な注意点について詳しく見ていきます。

信用リスクがある

投資した企業が破綻するリスクを「信用リスク」と呼びます。金鉱株はあくまでも「希少性が高い金を採掘している企業」の株式であり、他の企業と同様に経営が行き詰って破綻する可能性があります。金自体には信用リスクはありませんが、金鉱株には信用リスクがあることに注意が必要です。

ボラティリティがある

オペレーティング・レバレッジはメリットでもありますが、デメリットでもあります。オペレーティング・レバレッジがかかるということは「良いときはすごく儲かるが、悪いときは損失が大きくなる」ということです。業績の幅が大きいと、一般的に株価のボラティリティ(変動幅)が大きくなります。

また、株価は未来の業績を織り込みます。一般的に、金価格が高いときはオペレーティング・レバレッジが効き、株価が上がりやすいのですが、その株価がすでに「金価格が高いこと」を織り込んでいる可能性もあります。その場合は、投資をすると高値掴みになってしまう恐れもあります。

金ETFの特徴

金ETFとは金相場に価格が連動するように運用されるETFのことであり、金の市場価格を見ながら売買を行うことができます。投資した分は一定の数量以上の地金として現物と交換することもできますが、地金を保有せず取引を続けることも可能です。

金のETFとしては、以下のようなものがあります。

銘柄名 特徴
SPDRゴールドシェア(GLD) 米国の金価格との連動を目指した金ETF
ヴァンエック・ベクトル 金鉱株ETF(GDX) 世界各国の金鉱に関連する中小型および大型株を投資対象とする
純金上場信託(1540) 「グラム・円」単位の金の理論価格との連動を目指すETF

金ETFのメリット

金ETFは、金投資を手軽に始められる方法です。その利点について詳しく説明します。

リアルタイムでの売買が可能

金ETF最大のメリットは、金の市場価格を見ながらリアルタイムで売買ができるという点です。現物購入や純金積立の場合、営業開始時点の相場価格をもとに算出された価格を基本的に一日中適用するため、リアルタイムの相場価格とはわずかにズレが生じてしまいます。しかし、金ETFであればリアルタイムでの相場価格で取引することができます。

小額からの購入が可能

現物購入の場合、重量によっては数百万円や1000万円といった単位で購入しなければならず、まとまった資金が必要です。しかし、金ETFであれば一口数千円という単位で購入できます。毎月小額で計画的に購入していきたい方によっては有効な投資の手段といえます。

現物の購入ではないため管理する必要がない

金鉱株もそうですが、金ETFは現物購入ではないため管理する必要がないのが大きなメリットです。仮に金を現物購入した場合、盗難や紛失、消失を防ぐためにも厳重に管理しておかなければなりません。そのため高価な金庫の購入や、貸金庫を契約して預かってもらうなどのコストがかかってしまいます。しかし、金ETFは直接金を保有するわけではないため管理の手間やコストを節約できます。

金TFのデメリット

金ETFにも他の投資方法と同様にデメリットがあります。注意すべき点を解説します。

売買手数料や管理費用がかかる

ETFの売買は一般的な株取引と同じ扱いになるため、販売窓口によって手数料が異なります。ただし、ネット証券を中心に手数料の無料化も進んでおり、自分で画面を操作して株を買うことに慣れている人であれば気軽に始められます。また金ETFを保有している間は、0.3%〜2%の信託報酬が発生します。仮に運用によって利益が出たとしても、手数料によって相殺され実質的な利益が見込めないか、あるいは損失が生じる可能性もあります。

配当が出ない

株式投資の場合、投資先の利益や経営状態によって株主へ一定の還元がなされることがあります。これを配当金と呼び、保有している株式の数に応じて分配されます。しかし、金ETFでは一部のETFを除いて配当金や分配金などが還元されることはありません。

長期で保有することを前提に考えると、金は比較的安定している一方で配当金をはじめとしたインカムゲインに期待することは難しいでしょう。

金先物取引の特徴

金の先物取引とは、業者間の取引で発生する金の売買差額を利用して利益を得る取引のことです。個人投資家は、ほとんどの場合、実際に物を受け取ったり渡したりせず、約束した権利を決済して放棄し、取引を終了します。

約束した時の価格と、決済した時の価格の差額が、損益の源泉となります。買う約束をして取引をはじめ、約束をした時の価格よりも高い価格で決済をすれば、利益が得られます。また、売る約束をして取引をはじめ、約束をした時の価格よりも、安い価格で決済をすれば、利益が得られます。

金先物取引のメリット

金先物取引は、大きな利益を狙える投資方法です。そのメリットについて詳しく見ていきます。

ハイレバレッジで大きなリターンを狙える

金先物取引では、証拠金を差し入れることによって、レバレッジをかけられます。

例えば1万円の資金があった場合、レバレッジがない場合は資金額通り1万円分ですが、レバレッジが3倍とすると、1万円で3万円分の取引が可能になります。

つまりレバレッジを高く設定するだけで高額な取引ができるようになるので、大きなリターンを狙えます。また元手となる資金も少なく抑えられ、小額から取引を始められるのもメリットです。

値段が下がった場合でも利益をあげられる

金先物取引の場合、「買い」「売り」のどちらからでも取引を始められます。そのため「相場が下がっているから今は取引できない」ということがなく、相場に左右されず取引のチャンスが常にあります。

金先物取引のデメリット

金先物取引には高いリスクが伴います。投資前に理解すべき重要な注意点を解説します。

ハイレバレッジによるリスクが高い

ハイレバレッジをかけられることは、メリットであると同時にリスクでもあります。少ない金額でも大きな取引ができるものの、損失が出た場合にはより多くのダメージを被る恐れがあります。

ハイリスク・ハイリターンであることを理解し、むやみにレバレッジをかけることなく、リスクをケアした取引を心がける必要があります。

中長期の資産形成には向かない

金先物取引は、決済期限が決められているため、中長期的な資産形成には向いていません。短期取引が前提となり、期限が来る前に決済する必要があります。

まとめ

金投資には様々な方法があり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。投資家は自身の投資目的、リスク許容度、投資期間などを考慮し、最適な金投資の方法を選択することが重要です。

また、金投資はポートフォリオの一部として考え、適切な資産配分をすることで、より効果的な投資戦略を構築できるでしょう。金投資を始める前に、十分な調査と学習を行い、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

【出典】

田中貴金属グループ 信用・信頼の証 Good Delivery Refree
https://www.tanaka.co.jp/about/trust.html

日本経済新聞 2020年8月5日 14:31 [会員限定記事]
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL05HSF_V00C20A8000000/

楽天証券 Gold Miners ETF(GDX)
https://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/product/pdf/fct_GDX.pdf

東京証券取引所 純金信託
https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/issues/files/1540-j.pdf

三菱マテリアル 金投資入門
https://gold.mmc.co.jp/primer/begin/asset-management/gold-investment-recommendation/

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https://go.sbisec.co.jp/lp/lp_junkin_tsumitate_210617.html

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