米国の関税引き上げを受け、金価格が反発

July 27, 2026

本記事は、Canadian Mining Report にて Ben McGregor 氏が執筆した“Weekly Roundup” の内容を翻訳・再構成したものです。  

新たな関税導入による経済リスクの高まりを受け、金価格が反発 

金価格は1.4%上昇し、1オンスあたり4,068ドルとなった。米国が強制労働による輸入禁止の進捗状況に応じて80カ国以上に対し10.0%から12.5%の新たな関税を課したことで、世界経済のリスクが高まったことが背景にある。

ニューモントは2026年第2四半期を好調にスタート、大手金鉱会社の成長が見込まれる

ニューモントの2026年第2四半期決算は、大手金鉱会社の決算発表シーズンの好調な幕開けとなった。市場は依然として今年の金鉱業界の売上高と純利益の力強い成長を期待しており、金価格は引き続きコストを大きく上回る水準にあることから、生産量の減少を相殺すると見込まれている。 

金関連株が底値から反発

金関連株は先週記録した年初来安値から反発し、GDXは5.5%、GDXJは6.1%上昇した。これは、S&P500が1.0%下落、ナスダックが2.9%下落、ラッセル2000が1.3%下落した株式市場全体の下落率を上回るものだった。

図1:金先物価格の週間パフォーマンス

図2:金鉱株ETF

図3:金先物および金鉱株ETFの価格パフォーマンス

米国の関税引き上げを受け、金価格が反発

金価格は1.4%上昇し、1オンスあたり4,068ドルとなった。これは先週記録した年初来安値からの反発であり、その安値は主に米国が課した新たな関税によってもたらされ、経済全体のリスクを高めたものとみられる。

今回の反発は、金価格と逆方向に動く傾向がある米ドル高と利回り上昇の影響を相殺した格好だ。新たな関税は80カ国に対して10.0%から12.5%の範囲で課され、期限切れとなった10%の一律関税に取って代わった。

これは強制労働による製品の輸入禁止に関連するもので、この問題への対応で進展が見られる国には低い税率が、進展が見られない国には高い税率が適用される。このニュースを受けて株式市場は下落し、S&P500は-1.0%、ナスダックは-2.9%、ラッセル2000は-1.3%、それぞれ値を下げた。

一方、金関連株は先週記録した年初来安値から大幅に反発し、GDXは5.5%、GDXJは6.1%上昇した。 

ニューモント社の2026年第2四半期決算は、金鉱業セクターの好調なスタートとなった。

世界最大の金生産会社であるニューモントは、業界に先駆けて2026年第2四半期決算を発表し、前年同期比で好調な業績を記録した。内容はおおむね市場予想通りだった。第1四半期は前期比で減少したが、これは金価格の急騰が主因であり、その後価格は反転している。

金価格が2か月にわたり4,000米ドルをわずかに上回る水準で推移していることを踏まえると、2026年第2四半期の業績は同社にとってより持続可能な収益水準を示すものといえそうだ。 

図4:ニューモントの生産量

ニューモントの金生産量は前年同期比12.5%減の129万3,000オンスとなった一方、前期比ではほぼ横ばいで、減少幅はわずか0.6%にとどまった。2025年第1四半期以降、前年同期比の生産量伸び率はマイナスが続いているが、2025年第4四半期に記録した-23.5%という低水準からは2四半期連続で改善している(図4)。

直近で生産量が伸びたピークは2024年第1四半期から第3四半期にかけてで、各四半期とも前年同期比で約30%増となり、2024年第4四半期には過去最高となる189万9,000オンスの生産量に達した。 

金の実現価格は前期比で4,900米ドルから4,414米ドルへと大きく下落したものの、2025年第4四半期の4,216米ドルは上回っており、2026年第1四半期を例外とすれば、従来の上昇トレンドへの回帰を示しているといえそうだ(図5)。

総維持コスト(AISC)は前年同期比、前期比ともに1,938米ドルへと上昇したが、これは主にエネルギーコストの上昇によるもので、市場でも織り込み済みだった。金価格と総維持コストの差は依然として大きく、2,476米ドルとなっている。

2026年第1四半期の3,191米ドルからは大きく縮小したものの、コスト上昇の影響もあり、2025年第4四半期の2,596米ドルをわずかに下回る水準にとどまった。 

図5:ニューモントの金実現価格、AISC

図6:ニューモントの売上高

2026年第2四半期の売上高成長率は前年同期比15.1%にとどまり、2023年第3四半期以来の最低水準となった。金価格の継続的な上昇に牽引されて45.8%という直近ピークを記録した2026年第1四半期を含め、過去5四半期の伸び率をいずれも下回る結果だ(図6)。この結果、売上高は2025年第3四半期から第4四半期にかけての水準まで減少した。

純利益は、2025年第2四半期の21億米ドルから前年同期比で増加し、2026年第2四半期には22億米ドルとなったが、2026年第1四半期のピークである33億米ドルからは大きく減少した(図7)。それでも同社にとっては依然として過去2番目に好調な四半期であり、2025年下半期と2026年第1四半期を押し上げた一部の例外項目を除けば、純利益は2024年以降おおむね安定した上昇傾向を描いている。

図7:ニューモントの純利益

図8:ニューモントの現金保有高

市場は依然としてメジャー金鉱会社の力強い成長を期待している

市場は、今年に入って金価格が大きく下落したにもかかわらず、メジャー金鉱山会社の力強い成長を引き続き期待しており、平均価格は前年比で大幅な上昇が見込まれている(図9)。

この上昇は生産量の増加によるものではないとみられ、ゴールドフィールズを除く大半の企業のガイダンスでは、生産量が約-1.0%から-6.0%の範囲で減少する見通しとなっている。ゴールドフィールズのみ2.5%の増加が見込まれている(図10)。

この成長は、最近の平均で約4,000米ドルという依然として非常に強い金価格に支えられる見通しで、これはノーザンスターを除くすべての企業の総維持コストの2倍を超える水準にあたる。

ノーザンスターの総維持コストは約2,700米ドルと、他社に比べて相対的に高い(図11)。金価格の高騰により各社の収益は約20%から40%増加すると見込まれ、金価格とコストの差が大きいことから、各社の純利益は約20%から70%増加すると推定されている(図12)。 

図9:メジャー金鉱会社の時価総額

図10:メジャー金鉱会社の生産量

図11:メジャー金鉱会社の総維持コスト(AISC)

図12:メジャー金鉱会社の売上高・純利益成長率

図13:メジャー金鉱会社の株価純資産倍率(PBR)

2025年にかけてやや割高感が出始めていた金鉱会社の評価水準は、2026年に入りより妥当な水準へと落ち着いた。大半の企業の株価純資産倍率(PBR)は3.0倍を超えており、一般的には割高とされる水準だが、2社は5.0倍近くまで跳ね上がっている(図13)。

2025年時点でPBRが2.0倍を下回っていたのはノーザンスターのみで、これは他のメジャー金鉱会社に比べてコストが相対的に高いことが要因とみられる。

グループの大半は2026年にはPBR3.0倍を下回る水準に戻ったが、アングロゴールドは依然として4.0倍をわずかに下回る水準にあり、ノーザンスターは2.0倍をわずかに下回る水準で横ばいとなっている。

金価格の下落を受けてこれらの企業の多くでコンセンサス目標株価は下方修正されたものの、依然として25%から60%を超える大幅な上昇余地が示唆されている(図14)。 

図14:メジャー金鉱会社の目標株価に対する上昇余地

図15、16:メジャー金鉱株とTSXVのジュニア金鉱株

メジャー金鉱株とTSXV上場の金関連銘柄の株価は上昇、ゴールドグループの株は合併完了で下落

メジャー金鉱株の株価はすべて上昇し、TSXV上場の金関連銘柄の大半も金価格の上昇を受けて値を上げた(図15、16)。国内事業を中心とするTSXV上場の金関連銘柄では、New Found GoldがQueenswayのLotto Zoneにおけるチャンネルサンプルおよび掘削結果を報告し、Talamoreは1億4,950万カナダドルの私募増資を完了、CoffeeのSupremo Extensionにおける掘削結果を公表した。

またOsisko GoldはCaribooプロジェクトに関してウェルズ地区と利益協定を締結し、同プロジェクトのLowhee Zoneの掘削結果を発表した(図17)。 

主に海外で事業を展開するTSXV上場の金関連銘柄では、GoldgroupがEric Sprott氏による同社株式250万株の取得を報告した。これは非希薄化ベースで7.5%、部分希薄化ベースで10.1%の持分取得にあたり、あわせて事業の最新状況も公表した(図18)。

これらはいずれもGold Resourceとの合併完了に関連する動きで、今週の株価が53%下落した主な要因とみられる。この下落は、合併後の新会社がカナダを本拠地とする指標基準を満たさなくなったため、ラッセル2000総合ファクター指数への組み入れ資格を失ったことが一因である。

同社はまた、ニューヨーク証券取引所への上場計画を発表し、その要件を満たす一環として2026年7月10日付けで4対1の株式併合を完了した。 

図17:カナダ国内におけるジュニア金鉱会社の最新情報

図18:カナダの海外展開ジュニア金鉱会社の最新動向

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著者:Ben McGregor

Ben McGregor 氏は、CanadianMiningReport.com において「Weekly Roundup」を執筆している分析者であり、金属・鉱業セクターに関する鋭い視点で知られている。市場トレンドを見抜く能力に長け、複雑な市場の動きを TSXV(トロント・ベンチャー取引所)のジュニア鉱山企業を中心に、簡潔かつ分かりやすい洞察へと落とし込んでいる。

毎週のレポートでは、金・銅・ウランなど幅広いテーマを扱い、データに基づく分析と投資機会を見極める視点を組み合わせて、読者に価値ある情報を提供している。ダイナミックに変動するジュニア鉱山セクターにおいて、投資家にとって重要な情報源となっている人物である。

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